2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

倫理的であるということは、立ち止まって考えるということ。

遠藤周作「海と毒薬」1958海と毒薬 (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1960/07/15メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 79回この商品を含むブログ (161件) を見る第二次世界大戦末期の九州。 F市の大学病院の研究員である勝呂(すぐろ)は…

我ら人間は、みなカインの末裔なのだ。

有島武郎「カインの末裔・クララの出家」1917カインの末裔/クララの出家 (岩波文庫 緑 36-4)作者: 有島武郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1980/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見る北海道のけわしい荒野から生ま…

一言も喋らず、決して後ろを振り返らず。

深沢七郎「楢山節考」1959楢山節考 (新潮文庫)作者: 深沢七郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1964/08/03メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 83回この商品を含むブログ (109件) を見る お姥捨てるか裏山へ 裏じゃ蟹でも這って来る 這って来たとて戸で入れぬ …

僕らはみんな、オリジナルなきコピーだ。

島田雅彦「未確認尾行物体」1987未確認尾行物体 (文春文庫)作者: 島田雅彦出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1993/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 4回この商品を含むブログ (12件) を見る皇太子の学友でもある、エリート医師・笹川賢一は、ルチアーノ…

それじゃあお元気で、さようなら。

阿部和重「グランド・フィナーレ」2005グランド・フィナーレ (講談社文庫)作者: 阿部和重出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/14メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 81回この商品を含むブログ (84件) を見る「ああ、ほっといていい。こいつが泣いてるの…

木を見るのも、森を見るのも同じこと。

藤沢周「死亡遊戯」1994死亡遊戯 (河出文庫文芸コレクション)作者: 藤沢周出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1999/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る「寒いっしょ、社長!どうです! 中で熱いシャワー浴びて、若い女の子…

漢字の読めない偉大な読書家。

高橋源一郎「優雅で感傷的な日本野球」1988年優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/06/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 36回この商品を含むブログ (65件) を見るスタジアムには試…

カタストロフィの嵐。

島本理生「リトル・バイ・リトル」2003リトル・バイ・リトル (講談社文庫)作者: 島本理生出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/01/13メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (105件) を見る 最終の電車で彼女は帰ってきた。 そのとき、…

秘密の城館と、密閉された取調室。

ポーリーヌ・レアージュ「O嬢の物語」1954O嬢の物語 (河出文庫)作者: ポーリーヌ・レアージュ,澁澤龍彦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1992/06/01メディア: 文庫購入: 17人 クリック: 318回この商品を含むブログ (45件) を見るO嬢はその恋人・ルネの…

燃えるような使命感と、切実な危機感。

トルストイ「光あるうち光の中を歩め」1887光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)作者: トルストイ,原久一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/05メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 92回この商品を含むブログ (42件) を見る紀元2世紀、古代ローマ帝国が栄…

「愛」と「自己犠牲」と「甘やかし」の違い。

ギ・ド・モーパッサン「脂肪の塊」1880脂肪のかたまり (岩波文庫)作者: ギー・ド・モーパッサン,Guy De Maupassant,高山鉄男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/03/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 36回この商品を含むブログ (20件) を見る19世紀ヨ…

僕のレーゾンデートル。

アンデルセン「絵のない絵本」1839絵のない絵本 (集英社文庫)作者: ハンス・クリスチャン・アンデルセン,山野辺五十鈴出版社/メーカー: 集英社発売日: 1991/11/20メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見るアンデルセンは、7年戦争の最…

死者とのコミュニケーション。

佐藤愛子「冥途のお客」2004冥途のお客 (文春文庫)作者: 佐藤愛子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/09/04メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 11回この商品を含むブログ (4件) を見る 死んだ主人がそばに来ているとしたら、それは成仏していないという…

死だけが人を自由にさせる。

シモーヌ・ド・ボーヴォワール「人間について」1944人間について (新潮文庫)作者: ボーヴォワール,青柳瑞穂出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1955/06/28メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (7件) を見る紀元前三世紀のエピロス王で…

「大事なものは目に見えない」なんて嘘だ。

パウロ・コエーリョ「ベロニカは死ぬことにした」1998ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)作者: パウロコエーリョ,平尾香,Paulo Coelho,江口研一出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2003/04/25メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 25回この商品を含むブログ (…

彼女を突き落としたのは、僕のこの両手だ。

マイケル・ドリス「朝の少女」1992朝の少女 (新潮文庫)作者: マイケルドリス,Michael Dorris,灰谷健次郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1996/12メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 8回この商品を含むブログ (19件) を見るいつも早起きなことから「朝の少女…

脱ぎ散らかした靴下の中にあるもの。

スコット・フィッツジェラルド「マイ・ロスト・シティー」1920-40マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)作者: フランシス・スコットフィッツジェラルド,Francis Scott Fitzgerald,村上春樹出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/05/01メデ…