イメクラに行ってきた。

■TRAVA - FIST PLANET
小池健石井克人監督/2001/日本

Grasshoppa!SPECIAL TRAVA-FIST PLANET episode 1 トラヴァ [DVD]

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イメクラに行ったんだ。でも普通のイメクラじゃなくて、「石油イメクラ」ってところ。


僕は一番安い「軽油セーラー服」のコースを選んだんだけど、
それはセーラー服を着た女子高生に、軽油をぶっかけるっていうプレイが出来るんだ。


他には「ガソリンスクール水着」っていうコースがあって、これはちょっと高い。
スクール水着の女の子と、ガソリン入りのプールで泳げる。プールサイドは禁煙。


一番高いコースは「重油ナース」。これはすごい。
重油を満載した10万t超のタンカーを、アラビア湾に沈めることが出来るんだ。
もちろん、乗組員の看護婦ごとね。



―――目が覚めた後、なんでそんな夢を見たのか考えた。
きっと、「TRAVA - FIST PLANET」を見たからだ。



石油は近い将来、枯渇するだろうと言われている。
湯水のように化石燃料を使い、大量の排気ガスを撒き散らし、
クラッシュすると凄まじい量の金属屑が発生するモータースポーツも、
信じられないくらい「贅沢な遊び」になるであろう。


そんな未来世界を舞台に、
宇宙中にある力自慢のノウリョクを集めて、一番を決めるレースが、
「FIST PLANET」だ。
「内容がシンプルなだけに宇宙中で今一番もりあがっている話題」だとトラヴァは言う。


そもそもトラヴァとシンカイはマーキングをしに、
宇宙の果てのファーブル星「エリア78」までやって来たわけだが、
そのこと自体無駄だっだ。
住む星は足りてるが、平和ですることが無いから、将来の保険の為に調査しに来たと、
シンカイはミクルに説明する。


一切の記憶を消された状態で避難ポッドに入れられたスカーフェイスの美女ミクル。
考える武器。甲蟲型ロボ・ガッソン。死して尚伝説となった変態社長のいる中川工業。
巨人星の生き残りが住む巨大独立移動星ポッガ。
住人を選び、エネルギーを与える星ファーブル。


・・・とにかく1時間足らずの映像作品には、
「無駄」に細かい設定のあるアニメーションだ。



僕は当然、「無駄だから良くない」と言いたい訳ではない。


バイク、車、ゲーム、音楽、映画、カメラ、鉄道、ロボット、天体、プラモデル、
サッカー、モデルガン、サーフィン・・・などなど、
オトコたちは、いつの時代もそんな「無駄な遊び」に夢中になってきた。


男のロマン」、「ダンディズム」、「粋」、「エロチシズム」・・・。
それらは全て「無駄」という言葉に換言されるだろう。



J.バタイユは、「エロチシズムとは死に至るまでの生の昂揚である」と 言った。


秩序に向かう活動は「生産」であり、
混沌に向かう活動は「エロティシズム」だ。
「混沌に向かう活動」は、もちろん「無駄」だ。
消尽であり、蕩尽だ。
労働や生産活動によって得られた価値を捨て去る、
つまり低エントロピーをいたずらに増大に向かわせることだ。


資源の無駄遣いの中にこそ快楽があり、
人はそこにダンディズムや、エロチシズムを感じる。
人はみな、「生」の中にある「死」の快楽を求めて生きているのだ。



無駄なことをする人は、戦時中は「非国民」と呼ばれ、
3.11以降は「不謹慎」と言われるようになった。


「無駄なことばかりする人」が、再び「粋人」と呼ばれる日が来ることを、心から願う。