コペルニクスとダーウィンとフロイトの恐怖。

パラノーマル・アクティビティ
オーレン・ペリ監督/2007/米/原題:Paranormal Activity

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

パラノーマル・アクティビティ [DVD]

ドキュメンタリー調のホラー映画。
照明も音響も普通、血みどろや、急な音や光で脅かすこともない。


実際に居るカップルが、本当にハンディカメラで撮影した映像なんじゃないかと思ってしまう位リアル。
本物だと思って見ると怖い。


彼等は自分達が寝ている間にもカメラを回す。
起きてからそれをチェックすると、
部屋のドアが勝手に動いたり、電気が勝手に点いたりする映像が録画されていた。



普段はそのことに気付かずにいるが、
人は基本的に、自分が寝ている間に何が起こっているのかを知らない。


恐怖という感情は、知らないということからやってくる。
その恐怖心を克服しようと、人類はあくなき探究心で自らの知性の限界を少しずつ押し広げていった。



しかし、事態は皮肉な方向へ転がっていく。
コペルニクスは地動説を唱え、ダーウィンは進化論を主張し、
フロイトは無意識という領域の存在を指摘する。
人間中心主義は粉々に粉砕され、
自分の頭の中でさえも、自分の思い通りにならない不可知の領分があることに気付かされたのだ。


知れば知るほど、知らない世界が広がっていくというこの皮肉。
この先何十年経とうとも、新しいホラー映画が封切りされ続けるだろう。



映画を見た後、部屋のクローゼットがひとりでにゆっくりと開いて、死ぬほどビックリしたのは内緒。
中の荷物が倒れただけだった。