恋に落ちていることに気付いた瞬間。

■ジョンとメリー
ピーター・イエーツ監督/1969/米/原題:John and Mary

ある晩、あるバーで出会った一組の男女。
彼らの会話を軸に、それぞれの心の中の声もアフレコして、男女の恋の駆け引きを描いている。
二人はそれぞれ、本音と建前を巧みに使い分けて、相手を自分の意のままに操ろうと躍起になる。


二人がベッド・インするまでの駆け引きを描くのではなく、
ベッド・インしたその翌朝から物語が始まるというところが、この映画の斬新なところだろう。
なるほど、男女の関係というのは、ベッド・インするまではどのカップルも似たような経緯を辿るのかもしれない。
しかし、その後の成り行きはそれこそ千差万別だろう。


初めのうちは恋愛ゲームを弄んでいたジョンだったが、
だんだんと自分の意のままにならないメリーにうんざりして家を追い出してしまう。


だが、ある瞬間、突然背後から殴られたように恋に落ちる。
連絡先を消してしまったことを激しく後悔しながら、家を飛び出し、彼女を探す。
タクシーを飛ばして、彼女と出会ったバーや、交わした会話の中に出てきた彼女の家周辺と思われる近辺を探し回る。
ついに見付からずにガックリと肩を下ろすジョン。
諦めて家に戻って来ると、そこには…!



その、「恋に落ちた瞬間」というのか実にリアルなんだ。
いや、正しくは「恋に落ちていることに気付いた瞬間」だな。
その瞬間、以前の恋人と話しているんだが、それは特段変わった会話ではない。
ただ、「あなたは潔癖症だから、どんな女の子でも追い出しちゃうのよね」と揶揄される。
そういう、ありふれた日常の一コマなんだ。
だが、ふとした会話が人生を大きく変えてしまうこともある。



ところで、ダスティン・ホフマンの厭味な顔って、ムカつくよね?
これって僕だけじゃないよね?みんなそう思ってるんだよね?
誰もがムカつく顔だから、人気俳優なんだよね?