お金なんてただの数字だ。
■バーレスク
スティーヴ・アンティン監督/2010/米国/原題:Burlesque
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2011/10/05
- メディア: DVD
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ロサンゼルスの一等地に「最高の眺望」が売り文句の高層マンションが建てられた。
クラブ "BURLESQUE" は、その通りを挟んだ向かい側の古ぼけたビルにあった。
「歌とダンスが売り物」という今時流行らないこのクラブは、多額の借金を抱え、
存続の危機を迎えていた。
クラブの危機を二重の意味で救ったのが、
アイオワの片田舎からやってきたアリ(クリスティーナ・アギレラ)だった。
アリの持つ圧倒的な歌唱力と、可愛らしくセクシーなダンスで、クラブは再び活況を呈し始める。
更にこのクラブの「空中権」を向かいの高層マンションのオーナーに売り渡すことで、
不動産買収の防衛を果たす。
「歌とダンス」の映画の最終的な解決が、
それとは全く関係の無い不動産売買取引の話になるなんて!
と、不満に思うむきもあろう。
だが実はこの映画のテーマは「歌とダンス」ではなく、「ポテンシャル(含み資産)」なのだ。
ひとつ目はクラブの「空中権」。
ふたつ目はアリの「歌とダンスの才能」。
クラブを救ったのは、そのふたつの「ポテンシャル」であったのだ。
そのふたつはいずれも莫大なお金に換えられたはずのものだ。
しかし、「お金なんてただの数字だ」というショーンの言葉にもある通り、
ふたつの資産はクラブ "BURLESQUE" の存続に惜しげも無く注入される。
そして、クラブの存続の為に、アリはそこに留まることを選ぶ。
この映画は、成功譚、シンデレラ・ストーリーでは無いということは特筆すべきだろう。
成功すること、有名になること、金持ちになることだけが至上の価値である時代は終わり、
自分の居場所を見つけ出すことがそれに優先する―――米国にもそういう流れが来ているのだ。
「最高の眺望」は、窓も無いこのクラブにこそあるのだ!