戦勝国がアメリカではなく、ドイツだったとしたら?

人狼 JIN-ROH
沖浦啓之監督/2000/日

人狼 JIN-ROH [DVD]

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第二次世界大戦が、独伊の枢軸国と、日英の同盟の間で戦われていたら?
米国は参戦せず、そして枢軸国側が勝利を収めていたとしたら?
・・・という架空の設定に基づいた物語である。


日本は敗戦国であることに変わりは無い。
しかし、占領するのはGHQではなく、ナチスである。
映画では実際の日本の戦後の歴史とあまり変わりが無いように表現されていた。


しかし、もしも戦勝国アメリカではなく、ドイツだったとしたら?
きっと全く異なる戦後史が刻まれることになったはずだ。


ワイマール憲法を真似た新憲法が制定される。
ドイツ語やドイツ文化が流入し、ナチス支配下で戦後の復興が行われる。
強制的同一化によって日本国民全員がナチ党に入党させられる。
それ以外の政党・集会は弾圧され、ゲシュタポの暗躍により反体制派は徹底した拷問や強制労働を受ける。
米ソの脅威に対抗する為に核武装を含めた再軍備がなされる。
整然とした交通・通信インフラが整備され、農民を農地に縛り付けるような農地改革が行われる。
家々ではハーケンクロイツが掲揚され、街ではフォルクス・ワーゲンが走り回り、
映画館では右翼的なプロパガンダ映画ばかりが上映される。
スポーツが極度に称揚され、ドーピングや、遺伝子操作によって「優秀な人種」が作られる。
ポップアートや前衛芸術、象徴主義、エロチシズムは発禁処分を受け、
武骨で質実剛健な作品ばかりがもてはやされる。
ユダヤ人、ロマ、同性愛者、喫煙者、障害者、精神病患者、ライ病患者は徹底した迫害を受ける。


少し考えただけでも、そんなディストピア映画が作れるんじゃないかと思い浮かんだ。
実際はそんな映画じゃなかったけどね。