人を変えるのは、愛だけなんだ。
■トイ・ストーリー
ジョン・ラセター監督/1995/米/原題:Toy Story
- 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
- 発売日: 2006/06/16
- メディア: DVD
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ディズニー初のフルCGアニメーションである。
当時はセンセーショナルだったが、今は毎年のように公開されて食傷気味。
発表は1995年。もう16年も前になるのか。
感想。男の嫉妬は怖い。
おもちゃの持ち主であるアンディの寵愛をバズに奪われたウッディは、
「自分が一番愛されている」というアイデンティティを失って発狂寸前になっていた。
あやうくバズを殺してしまうところだった。
嫉妬、か。僕は誰かに嫉妬しているだろうか?
自らをスペースレンジャーだと思い込んでいたバズが、
自分のCMをテレビで見てしまい、ただのおもちゃだったということが判明するシーンがある。
「自分は本物ではなかった!」
そのことに気付く時の痛みと言ったら・・・!
僕はきっと、その痛みを知っている。
しかし、残酷なことにそれでも人生は続いていくんだ。
過去の思い出に浸ったり、未来のあるべき自分に思いを馳せたり、
間歇的にやってくる自己嫌悪と闘いながら。
本物じゃなくたって、自分の出来ることをひとつずつやっていくしかないんだ。
人生ってヘビーだぜ。
おもちゃの共同体は、結構厳しい。
裏切り者だというレッテルを貼られると、死にそうになっていても助けて貰えないのだ。
シドの家から抜け出そうとするウッディは、
かつてのルームメイトたちに助けを求めるが、冷たく拒絶される。
そこに居ては、殺されることが明白でありながら。
緊急避難とか、超法規的措置とかそういうものは一切なく、ただ「裏切り者には死を」。怖い。
ウッディとバズは結局シドの家を脱出してしまう。
だが僕は、そこに留まるという選択肢もあったんじゃないかと思う。
シドはウッディやバズを盗んだ訳ではない。
クレーンゲームでお金を払って合法的に手に入れたのだ。
だから、シドにはそれらのおもちゃで遊ぶ正当な権利がある。
逃げ出してしまうのなら、そっちの方が不当なのだ。
(ついでに言うなら、「盗んできたおもちゃ」にだって使命がある。
それは「人のものを盗んだって、いいことなんか何もない」と子供に教えることだ)
子供を成熟させないままに逃げ出してしまっては、
おもちゃの本分を果たしていないのではないかとすら思う。
最終的にシドは、おもちゃを大切にするようになるが、それは愛によってではない。
彼を恐怖によって縛っているだけだ。それでは何も変わったとは言えない。
誓って言うが、シドは生まれながらの悪人なんかではない。
彼がおもちゃを壊す遊びにしか熱中出来ないのには、何か理由があるはずなのだ。
シドに対する愛を全うすれば、きっとシドは変われたはずだと思う。
本当の意味で人を変えるのは、愛だけなんだ。