孤独な旅人 その3。

ロシア民話 瀬田貞二井上洋介絵「おだんごぱん」1960

おだんごぱん (日本傑作絵本シリーズ)

おだんごぱん (日本傑作絵本シリーズ)

おじいさんとおばあさんに作られたおだんごぱんは、
目を放した隙に窓から逃げていってしまう。
森の中で様々な動物たちに会うが、胸に秘めたその目的はついに語られることなく。


こんどは、くまに あいました。
くまが、ぱんに いいました。
「おだんごさん、おだんごさん。
おまえを、ぱくっと たべてあげよう。」
「そりゃ、だめさ。たべようたって、できないよ。」
そういって、ぱんは うたを うたいだしました。
「ぼくは、てんかのおだんごぱん。
ぼくは、こなばこ ごしごし かいて、あつめて とって、それに クリーム たっぷりまぜて、バターで あげて、それから まどで、ひやされた。
けれども ぼくは、おじいさんからも、おばあさんからも、うさぎさんからも、おおかみさんからも、にげだしたのさ。
おまえなんかに つかまるかい。さよなら、くまさん。」
そして、ころころ ころがって、


姪っ子に読んで聞かせたが、その七五調はゼロ歳児の耳にも快いらしく、ニコニコ笑って聞いていた。
「そして、ころころ ころがって、」というところで、ページが終わるのが心憎い。
早く次のページに進みたくなる。