孤独な旅人。

高橋源一郎ゴーストバスターズ 冒険小説」1997

ゴーストバスターズ―冒険小説 (講談社文庫)

ゴーストバスターズ―冒険小説 (講談社文庫)

アメリカがまだ若く、人々に力と勇気が満ちていた時代。
ブッチとサンダンスは、列車や銀行を襲うギャングであり、ゴースト退治のエキスパートであった。


ゴーストと向き合う際の注意を訊ねた「ぼく」に、ブッチは答える。

いいかね。ゴーストには奇妙な性質があるのだ。
でも、それがどういう性質なのか、それは教えてあげられない。
どうしてかというと、その奇妙な性質はいつも変化しているからで、いまそれをお前に教えることなどできないからだよ。
おまえが知っておかねばならないいちばんたいせつなことは、おまえはゴーストにたったひとりで立ち向かわなくちゃならないということだ。
その意味がたぶんいまのおまえにはわからないだろう。
しかし、これだけは覚えておかねばならないよ。
その時はおまえはほんとにひとりぼっちで、だれもおまえを助けてくれないのだ。

やがて「ぼく」は、ブッチの予言通り、たった一人でゴーストに立ち向かうことになる。