制限の無いところに自由は無い。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1995/04/18
- メディア: 文庫
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章が進むごとに一音ずつ音が消えていく、という超実験的長編小説。
「ぱ」が消えると、「パン」も、「パリ」も、「オールドパー」も消える。
最終的には「ん」だけになり、小説が終わる。
ん。
その作品の存在を聞いたとき、ビックリはしたが、
「それが文学的に名作なはずは無い」と思っていた。
使えない音が存在する状態で、制限の無い小説に適うわけが無い、と。
しかしそれは大きな間違いだった。
「ノックスの十戒」もそうだが、小説に制限を掛けることは、
その小説を面白くする方向へ働くのだ。
実際、この作品の中で筒井は、挑戦したことの無い自伝語りを始める。
使用できる音が制限されてはじめて表現できる、という事柄が存在するのだ。