死者とのコミュニケーション。
大江健三郎「死者の奢り・飼育」1959
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959/09/29
- メディア: 文庫
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人間は死者とコミュニケーションを取れる唯一の動物である。
もちろんイタコとか、心霊とか、そういう話ではない。
葬式をするのは人間だけだ、という意味だ。
生者は「儀式」を通じて、去り行く死者を見送る。
この場合の「儀式」とは、死者との語らいである。
その絶望的な立場の断絶こそが、コミュニケーションを成立させる。
小説を含む全てのコミュニケーションは、
死者との語らいが基盤となっているのだ。